三浦徹「地域研究と比較史:イスラームの都市社会」(講演原稿とスライド)

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本日のシンポジウムは、10年間にわたるNIHUイスラーム地域研究の最後の合同集会・講演会になります。そこで、出発点にたちかえり、イスラーム地域研究とはなにか?ということを考えてみることにいたしました。地域研究とはさまざまな分野の学際的総合的な研究ですが、NIHUイスラーム地域研究では、その発足にあたって佐藤次高前代表が「歴史的視点の重視」を掲げてきました。そこで、企画者である東洋文庫拠点では、「地域を知る、歴史から考える」というタイトルのもとで、歴史研究から、地域へのアプローチを考えることにいたしました。

2011年のいわゆる「アラブの春」以降、イスラーム地域にかかわって、さまざまな事件が頻発し、日本および日本人はこれらと無関係ではなく、また多くの市民の方が、イスラームの地域とはどういう地域なのかという関心をもたれています。
本日の集会では、今日の政治問題を直接議論するわけではありませんが、アラブ、中央アジア、トルコの地域とかかわってきた、東洋文庫拠点に属する3名の歴史研究者にくわえ、南アジアおよび国際政治を専門とされる竹中千春先生をお招きし、それぞれが自身の研究活動のなかから、地域がどのようにみえてきたのか、ということを話します。これを問題提起として、後半の総合討論でフロアのみなさまとともに、「広大な」イスラーム地域を理解していく切り口について、討議していきたいと思います。

私は、この写真にありますシリアの首都、ダマスクスの都市史を30年にわたって研究してきました。今日は、この都市の研究から、他地域の都市との比較を通して、イスラームの都市社会がどのようにみえてきたかをお話ししたいと思います。

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