三浦徹「地域研究と比較史:イスラームの都市社会」(講演原稿とスライド)
さらに、記載内容を調べていくと、使い分けに気づきます。日常的な食料や衣料などの売買は現金決済か口約束で、不動産や相続のように子孫にまで影響するものは証人をたて、文書契約を交わし、法廷に登記する。裁判は、証人の証言によって、勝ち負けがきまるが、判決のまえに名士が調停をすることで、利害調整がはかられる。借金が必要になると、イスラーム法での利子の禁止に抵触しないように、時計や石鹸の売買の形で融資がなされる。イスラーム法に則り、個人の所有権を基礎に、それを契約で結びあわせ、農地や商店の経営が行われていた。これらをみていくと、イスラーム法は周知され、人びとは、その形式を踏みながら、形式を使いこなしていたといえるでしょう。
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(2016年4月16日更新)