イスラーム地域研究資料参考

作成 柳谷あゆみ (2012年12月20日TBIAS修正)

[目次]

[数字]

アラビア語の数字・ペルシア語の数字

いわゆる「アラビア数字」はインドで考案されたもので(アラビア数字と呼ばれるのは、アラブを経由してヨーロッパに流入したからである)、アラブ地域及びペルシア語圏では別の数字を採用している場合も多い。

これらを便宜上「アラビア語の数字」「ペルシア語の数字」とするが、両者とも文字の形以外はいわゆるアラビア数字と変わりなく、基本的に左から右に記述する。

なお、アラビア語の数字とペルシア語の数字では、一見同じ形に見える数字でもUnicode上は別のコードが付されているので、混用しないよう注意を要する。

■アラビア語の数字(1~0)とアラビア語の序数(1~10)
アラビア語の数字 数字 Unicode 序数 男性形 女性形
١ 1 0661 第一 الأول الأولى
٢ 2 0662 第二 الثاني الثانية
٣ 3 0663 第三 الثالث الثالثة
٤ 4 0664 第四 الرابع الرابعة
٥ 5 0665 第五 الخامس الخامسة
٦ 6 0666 第六 السادس السادسة
٧ 7 0667 第七 السابع السابعة
٨ 8 0668 第八 الثامن الثامنة
٩ 9 0669 第九 التاسع الناسعة
٠ 0 0660 第十 العاشر العاشرة
■ペルシア語の数字
ペルシア語の数字 数字 Unicode
۱ 1 06F1
۲ 2 06F2
۳ 3 06F3
۴ 4 06F4
۵ 5 06F5
۶ 6 06F6
۷ 7 06F7
۸ 8 06F8
۹ 9 06F9
۰ 0 06F0
■ペルシア語の序数
序数
第1  (اول (یکم
第2 دوم
第3 سوم
第4 چهارم
第5 پنجم
第6 ششم
第7 هفتم
第8 هشتم
第9 نهم
第10 دهم
第11 یازدهم
第12 دوازدهم
第13 سیزدهم
第14 چهاردهم
第15 پانزدهم
第16 شانزدهم
第17 هفدهم
第18 هجدهم
第19 نوزدهم
第20 بیستم
第30 سی‌ام

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[暦法]

1.イスラーム世界共通
■イスラーム暦(ヒジュラ暦)

[解説]
イスラームの預言者ムハンマド聖遷(ヒジュラ)の年(西暦622年)を紀元とした純粋太陰暦。
1年間が12ヶ月で354日となり、西暦との相互換算には変換表を要する。

[見分ける目安]
(1)イスラーム地域の出版物
(2)西暦-621年前後となるので、近現代の出版物の場合、出版年が1300-1400年くらいになる
(3)出版年の後に هـ と書いてある場合が多い(هجريの略)

[西暦換算ツール]
>>ヒジュラ暦/西暦変換ツール
チューリヒ大学東洋学研究所サイトのヒジュラ暦/西暦相互変換ツール。年月日全て入力する必要がある。年のみしか判らない場合(出版年はこのケースがほとんど)は、当該年の1月1日とその翌年の1月1日を検索し、大体の値を割り出すと良い。

[イスラーム暦の月名]

第1月 ムハッラム Muḥarram محرم
第2月 サファル Ṣafar صفر
第3月 ラビーウ第一 Rabīʻ I ربيع ١
第4月 ラビーウ第二 Rabīʻ II ربيع ٢
第5月 ジュマーダー第一 Jumādá I جمادى ١
第6月 ジュマーダー第二 Jumādá II جمادى ٢
第7月 ラジャブ Rajab رجب
第8月 シャアバーン Shaʻbān شعبان
第9月 ラマダーン Ramadān رمضان
第10月 シャッワール Shawwāl شوال
第11月 ズル・カアダ Dhu al-Qaʻdah ذو القعدة
第12月 ズル・ヒッジャ Dhu al-Ḥijjah ذو الحجة

2. イラン及びペルシア語圏

西暦以外に独自のイラン太陽(ホルシディーKhorshidi)暦が使われている。
また、1976-1978年までイランではキュロス紀元(B.C.559年=アケメネス朝キュロス二世即位年を紀元とする)の太陽暦であるイラン皇帝暦(シャーハーン・シャーShahan Shah暦)が使用された。

■イラン太陽(ホルシディーKhorshidi)暦

[解説]
ヒジュラ紀元(西暦622年から始まる)の太陽暦。算出には変換表を用いる必要がある。

[見分ける目安]
(1) ペルシア語圏の出版物(イラン以外でも使用している場合がある)
(2) 西暦-621年前後となるので、近現代の出版物であれば1300-1400年前後が出版年となっている
(3) 数字の後ろに خ と書いてある場合が多い(خورشیدی の略)
※イラン太陽暦とヒジュラ暦とを見分ける目安:月名が異なるので月名から判断する(月名は下記参照)

[西暦換算ツール]
>>簡易版イラン太陽暦/西暦変換表(1300/1922-1499/2121年まで) 近現代であればこれで十分
>>イラン暦/西暦変換表

[イラン太陽暦の月名と西暦での日付]

第1月 ファルヴァルディーン Farvardīn فروردین 3/21-4/20
第2月 オルディーベヘシュト Ordībehesht اردیبهشت 4/21-5/21
第3月 ホルダード Khordād خرداد 5/22-6/21
第4月 ティール Tīr تیر 6/22-7/22
第5月 モルダード Mordād مرداد 7/23-8/22
第6月 シャハリーヴァル Shahrīvar شهریور 8/23-9/22
第7月 メフル Mehr مهر 9/23-10/22
第8月 アーバーン Ābān آبان 10/23-11/21
第9月 アーザル Āzar آذر 11/22-12/21
第10月 デイ Dei دی 12/22-1/20
第11月 バフマン Bahman بهمن 1/21-2/19
第12月 エスファンド Esfand اسفند 2/20-3/20
■イラン皇帝(シャーハーン・シャーShāhān Shah)暦

[解説]
アケメネス朝キュロス大王即位年(B.C.559年)の春分の日を元旦とする太陽暦。(公式に)使われていた時期は1976年3月14日から1978年8月27日までだが、以降の出版物にも使用例が見られる。

[見分ける目安]
(1)イランの出版物
(2)イラン太陽暦+1180年、かつ西暦1976~1978年の出版物に限られるので、出版年が2535年~2537年になる。

[西暦換算方法]
イラン太陽暦+1180(=559+621)年となるので、西暦を割り出すには、
イラン皇帝暦 - 1180 = イラン太陽暦 を割り出した後、上記の変換表で西暦を算出する。
例)イラン皇帝暦2535年=イラン太陽暦1355年=西暦1976/77年

3. オスマン帝国

●オスマン帝国(1299-1922年)
600年余にわたって、イランを除く西アジア(現在のトルコからシリア、エジプト、北アフリカ)、バルカン、カフカースの大部分といった広範に及ぶ地域を支配した。

■ルーミー暦 / 財務暦

春分の日を元日とする太陽暦。1255年から施行されていた。

[見分ける目安]
(1) オスマントルコ語の出版物

[西暦換算方法]
ルーミー暦は太陽暦(ユリウス暦)だが、春分の日から開始されるため、西暦への換算法は月によって異なった。
しかしルーミー暦1333年(西暦1917年)にグレゴリウス暦との調整が行われ、ついで1334年(西暦1918年)から1月1日開始となるように調整された。
以後は月に関わらず584年を加えた数がそのまま西暦の年数になるようになった。
※ユリウス暦とグレゴリウス暦のずれは12日ないし13日で、年によって異なる。下記の換算法はこのずれを13日としているので、年によっては若干の誤差があることを了承されたい。

ルーミー暦1332年以前3月~12月
(月名は3月から順にMart, Nisan, Ayyar (Mays), Haziran, Tammuz, Ab(Agustos), Aylul, Tishrin I (Tesrin-i evvel), Tishrin II (Tesrin-i sani), Kanun I)
ルーミー暦の年+584年+13日=西暦
1月、2月(月名はKanun II, Subat)
ルーミー暦の年+584年+1年+13日=西暦

●ルーミー暦1333年
3月~12月
(月名は3月から順にMart, Nisan, Ayyar (Mays), Haziran, Tammuz, Ab(Agustos), Aylul, Tishrin I (Tesrin-i evvel), Tishrin II (Tesrin-i sani), Kanun I)
ルーミー暦の年+584年=西暦
1月、2月(月名はKanun II, Subat)
ルーミー暦の年+584年+1年=西暦

●ルーミー暦1334年以降
ルーミー暦の年+584年=西暦

[西暦換算ツール] ※試行版なので、まだ調整を要する可能性がある。サイトの注意書きを参照のこと。
>>財務暦/西暦変換ツール

4. その他
■リビア暦

[解説]
リビアでは1969年の革命後に、西暦632年(イスラームの預言者ムハンマド死去の年)を元年とする独自のリビア暦を採用した。リビア国内では、イスラーム暦(ヒジュラ暦)とリビア暦、西暦の三種類の暦が使われている。

[見分ける目安]
(1) 1970年代以降の出版物と思われ、(西暦-632年となるので)出版年が1337~1380くらいの数であるもの。

[西暦換算方法]
リビア暦は太陽暦なので、西暦と異なるのは月の呼称と年数のみである。
年数は以下の計算で算出できる。
リビア暦の年+632年=西暦

例)リビア暦1377年+632年=西暦2009年

[リビア暦の月名]

月の名前 翻字
1月 أي النار Ay al-nār
2月 النوار al-Nawwār
3月 الربيع al-Rabīʻ
4月 الطير al-Ṭayr
5月 الماء al-Māʾ
6月 الصيف al-Ṣayf
7月 ناصر Nāṣr
8月 هانيبال Hānnībāl
9月 الفاتح al-Fātiḥ
10月 التمور al-Tumūr
11月 الحرث al-Ḥarth
12月 الكانون al-Kānūn
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[アラビア語書誌関連用語]

アラビア語書籍の標題紙など情報源となる部分に良く見られる用語の一覧。
便宜上、動詞完了形の訳語にも「~する」という形を用いた。なお、ター・マルブータは全てイダーファ(属格限定)なしの場合として翻字(hと翻字)している。

原綴 翻字 和訳 備考            
إعادة الطبع iʻādat al-ṭabʻ 再版、リプリント
إعداد iʻdād 編著
بقلم bi-qalam 筆による(=著)
تأليف ta’līf
تحت مراقبة taḥta murāqabah ~監修(監察)の下で
تحرير taḥrīr 編集
تحقيق taḥqīq 校訂
تحليل taḥlīl 分析
الترقيم الدولي al-tarqīm al-dawlī ISBN(国際標準図書番号)
تصنيف taṣnīf
تفسير tafsīr 註解
تقديم taqdīm 序文
(تقرير (ج. تقارير taqrīr (pl. taqārīr) レポート
تلخيص talkhīṣ 要約
تمهيد tamhīd 緒言、前書き
حرر ḥarrara 編纂(編集)する
حقق ḥaqqaqa 校訂する
حلل ḥallala 分析する
(حواش (الحواشي ḥawāshin (al-ḥawāshī) 欄外註
(دراسة (ج. دراسات dirāsah (pl. dirāsāt) 研究
راجع rājiʻ 校閲者
رقم الإيداع raqm al-īdāʻ 国立図書館納本番号 隣に納本年(正確には出版年とはいえない)が記載される。
最終ページか標題紙裏(T.p.verso)にあることが多い
شرح sharḥ 解説
طبعة ṭabʻah 版表示
عارض ب ʻāraḍa bi 比較対照する
علق ʻallaqa コメントする(付注) 直接目的語をとるかعلىをとることもある
عني بضبط ʻuniya bi-ḍabṭ 校正(校訂)に従事する
قدم ل qaddama li 序文執筆する
مجانا majānan 無料で 無料配布の場合など書かれている。
見返しか標題紙裏(T.p.verso)にあることが多い
مجمل mujmal 概要、抄
(محفظة (ج. محافظ maḥfaẓah (pl. maḥāfiẓ) フォルダ、紙ばさみ、ポートフォリオ
مزيدة muzayyadah 増補された
المعروف ب al-maʻrūf bi ~として知られる、~こと 通称を記すときに用いる
مقتضب muqtaḍab 要約、簡略
مقدمة muqaddimah 序文
منقحة munaqqaḥah 改訂された
(وثيقة (ج. وثائق wathīqah (pl. wathā’iq) 文書、ドキュメント
■アラビア語雑誌によく見られる語
アラビア語 翻字 意味
فصل faṣl 季節
موسم mawsim 季節
ربيع rabīʻ
صيف ṣayf
خريف kharīf
شتاء shitāʾ
刊行頻度
فصلية faṣlīyah 季刊
شهرية shahrīyah 月刊
سنوية sanawīyah 年刊
أسبوعية usbūʻīyah 週刊
يومية yawmīyah 日刊

※月名は暦法の項を参照

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[地名]

■中東地域の地名参考

>>Perry-Castañeda Library Map Collection : テキサス大学図書館の地図コレクション。中東地域の地図を参照できる。
>>Googleマップ: 地名全般の参照に補助的に使える。

■出版地

20世紀以降の出版物については、洋書同様 1. 標題紙 2.T.p. verso(標題紙裏) 3.最終ページ  4.カバーのいずれかに記載されている。
ただし20世紀以前の出版物については、現行の記載方法と異なるケースが多いので、標題紙・最初のページ・最終ページの全文を丁寧に見ていく必要がある。

■国名コード参考

>>MARC 国名コード表: NACSIS-CAT(国立情報学研究所書誌ユーティリティ)でも採用されている国名コード一覧。

■地名一覧表

現時点ではアラビア語圏の地名を中心に掲載。随時増補・更新する。

アラビア文字表記 翻字 欧文表記 国名コード 国名              
أبها Abhā Abha su サウディアラビア
أبو ظبي Abū Ẓabī Abu Dhabi ts アラブ首長国連邦
اربد Irbid Irbid jo ヨルダン
إسطنبول Isṭanbūl Istanbul tu トルコ
إسكندرية Iskandarīyah Alexandria ua エジプト
الإسكندرية al-Iskandarīyah Alexandria ua エジプト
البكيرية al-Bukayrīyah Al Bukairiyah,
Al-Bukayriyah
su サウディアラビア
الجزائر al-Jazāʾir Algeria, Algeirs ae アルジェリア
الجزائر العاصمة al-Jazāʾir al-ʻĀṣimah Algiers ae アルジェリア
الجيزة al-Jīzah Giza ua エジプト
الخرطوم al-Kharṭūm Khartum, Khartoum sj スーダン
الدار البيضاء al-Dār al-Bayḍāʾ Casablanca mr モロッコ
الدمام al-Dammām Dammam su サウディアラビア
الدوحة al-Dawḥah Doha qa カタール
الرباط al-Ribāṭ Rabat mr モロッコ
الرياض al-Riyāḍ Riyad su サウディアラビア
الشارقة al-Shāriqah Sharja ts アラブ首長国連邦
الطائف al-Ṭāʾif Ta’if su サウディアラビア
العجوزة al-ʻAjūzah al-Ajuza ua エジプト
القاهرة al-Qāhirah Cairo, Le Caire ua エジプト
الكويت al-Kuwayt Kuwait ku クウェイト
المحمدية al-Muḥammadīyah Mohammedia mr モロッコ
المدينة المنورة al-Madīnah al-Munawwarah Medina su サウディアラビア
المفرق al-Mafraq Mafraq jo ヨルダン
مكة Makkah Mecca su サウディアラビア
المملكة العربية السعودية al-Mamlakah al-ʻArabīyah al-Suʻūdīyah Saudi Arabia su サウディアラビア
المنصورة al-Manṣūrah El Mansura ua エジプト
المنصورية al-Manṣūrīyah al-Mansuriyah le レバノン ※他国にも同一地名有り
الموصل al-Mawṣil Mosul iq イラク
الهرم al-Haram Pyramid ua エジプト
اليمن al-Yaman Yemen ye イエメン
أم درمان Umm Durmān Omdurman sj スーダン
بغداد Baghdād Baghdad iq イラク
بنغازي Banghāzī Banghazi ly リビア
بيروت Bayrūt Beirut le レバノン
تريم، حضرموت Tarīm, Ḥadramawt Tarim ye イエメン
تونس Tūnis Tunis ti チュニジア
جدة Jiddah Jidda, Jedda su サウディアラビア
جيزة Jīzah Giza ua エジプト
حضرموت Ḥaḍramawt Hadramaut ye イエメン
حفر الباطن Ḥafar al-Bāṭin Hafal al Batin su サウディアラビア
حلب Ḥalab Aleppo, Alep sy シリア
دبي Dubay Dubai ts アラブ首長国連邦
دمشق Dimashq Damascus, Damas sy シリア
رام الله Rām Allāh Ramallah wj パレスティナ
سلا Slā Sla, Salé, Sale mr モロッコ
سوسة Sūsah Sousse ti チュニジア
صفاقس Ṣafākis Sfax ti チュニジア
صنعاء Ṣan‘ā’ Sanaa ye イエメン
طرابلس Ṭarābulus Tripoli ly リビア
طرابلس Ṭarābulus Tripoli le レバノン
طنطا Ṭanṭā Tanta ua エジプト
عمان Ammān Amman jo ヨルダン
عين مليلة ʻAyn Malīlah Aine M’lila ae アルジェリア
فاس Fās Fez mr モロッコ
قرطاج Qarṭāj Carthage ti チュニジア
كولونيا Kūlūnīyā Köln gw ドイツ
كيفة Kīfah Kiffa mu モーリタニア
لندن Lundun London uk 英国
ليبيا Lībyā Libya ly リビア
مراكش Marrākush Marrakesh mr モロッコ
مصر Miṣr Egypt ua エジプト
مصر الجديدة Miṣr al-Jadīdah New city, Egypt ua エジプト
هولندا Hūlandā Netherland ne オランダ
وهران Wahrān Oran, Ouahran ae アルジェリア

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