三浦徹「地域研究と比較史:イスラームの都市社会」(講演原稿とスライド)

スライド08

南アジアの地域研究でも、水島司氏は、「個と社会」のあり方という一般的な問題を設定することで、南アジアという地域の個性を、より広い空間や時間の軸のうえで、捉えることを提起しています。
ここまで、かなり抽象的な議論をしたため、退屈に感じておられるかと思いますが、地域研究がめざしてきたのは、単にいま現在、ある地域でおきていることの情報を集めるといった、単純な現代研究でも、さまざまな分野の研究の寄せ集めでもなく、人類史や人類社会という大きな舞台のうえで、当該地域と自分との関係を位置づける営みだということになります。中東にせよ、南アジアにせよ、多様な人間の交流や移動が顕著な地域を捉えるには、このようなグローバル・スケールの座標が必要になるともいえます。

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