第4回「卒論を書くための情報検索リテラシーセミナー」(2014年度)

NIHUイスラーム地域研究東洋文庫拠点は、下記の要領で第4回「卒論を書くための情報検索リテラシーセミナー」を開催しました。

【日時】2014年8月5日(火)10:30~17:00
【場所】財団法人東洋文庫 2階講演室

【プログラム】
10:00 開場
10:30 拠点代表挨拶、参加者自己紹介
10:40 書庫見学
11:30 三浦徹「論文作成の技法」
12:00 昼食 インターネットのセッティング
13:00 徳原靖浩「現地語資料の検索と利用」
13:45 後藤敦子「研究文献の検索と利用」
14:30 錦田愛子「調査地での資料散策」
休憩
15:00 質疑応答、実習「文献リストを作ろう」
17:00 終了

【概要】

イスラーム地域研究分野で卒論・修論を書く学生のための情報検索リテラシーセミナーの開催は、今年で4回目となる。今回は、昨年度を上回る23名の応募があった。当日体調不良などにより数名の欠席者があったが、最終的に関西圏からの参加者2名を含む20名の参加者があった。

例年同様、まず参加者の自己紹介を行い、続いて東洋文庫の書庫の見学を行った。普段入ることのできない書庫で貴重なクルアーン写本やアラビア文字資料を見た後、講演室に戻り、三浦徹拠点代表が東洋文庫およびイスラーム地域研究の活動の紹介、そして論文作成のプロセスを比喩や例を用いながらレクチャーした。さらにお昼休みを挟んで、徳原が主に現地語(アラビア文字)資料の検索における注意点を解説し、後藤敦子氏が日本語や欧文の研究文献の検索の方法と有益なデータベースについて紹介を行った。

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今年度は、新たな試みとして、パレスチナ難民問題が専門の錦田愛子氏による「調査地での資料散策」をプログラムに追加した。現代の中東をフィールドとした調査の具体的な方法や手続について、文献ではなかなか得られない貴重な情報に接することができ、卒論執筆者向けのセミナーとしてよりパワーアップしたものとなった。

今回で2回目となる実習「文献リストを作ろう」も、セミナーで学んだ検索法をその場で実践し、講演者に直接質問することができる貴重な機会となっている。本セミナーの実習では、自由に質問したり席を離れて参考図書を見たりすることのできる時間が1時間以上あるため、参加者は時間をかけて検索ができるだけでなく、他大学の学生と情報交換を行ったり、講演者にじっくり質問をしたりできる。検索ツールが日々進歩し、インターネット上の情報量も増加していくなかで、卒業論文の執筆も孤独な作業になりがちである。参加者のアンケートにも、他大学の学生と情報交換をしたいという要望が見られたが、このように参加者と講演者、また参加者同士が顔を合わせて情報や知識を交換できる場の存在は、ますます重要性を増していると思われる。

近年、大学図書館では学生向けに検索ガイダンスを行うことが常識化しているものの、特定分野に特化した形で、具体的な参考文献を案内したり、研究者や専門的ライブラリアンが個別の質問に答えたりするセミナーは他に類を見ない。本セミナーは、研究図書館・専門図書館の情報サービスの一つのあり方を提示していると言えよう。

徳原靖浩

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