第1回オスマン史研究会(2012/7/7)
トルコ 中東・湾岸諸国 「オスマン帝国史料の総合的研究」研究会
NIHUプログラム・イスラーム地域研究東洋文庫拠点は、第1回オスマン史研究会を、下記の要領で開催しました。
【日時】:2012 年7月7日(土)14:30~17:30
【場所】:東洋文庫2階講演室
【プログラム】
司会 Tadashi Suzuki (Prof. Emeritus, the University of Tokyo)
14:30 Jun Akiba (Chiba University), Ertuğrul Fırkateyni ve Japonya’da Neşr-i İslamiyet
15:30 İlhan Şahin (Manas University, Kyrgyzstan), Osmanli İmparatorluğunda Yönetim ve Yönetim Anlayışı
【概要】
2012年7月7日、東洋文庫にて、第1回オスマン史研究会が開催された。これは鈴木董氏の発案によるもので、東洋文庫拠点の「オスマン帝国史料の総合的研究」の一環として、一次史料にもとづくオスマン史研究の成果を発表し討論するための研究会を開催するに至った。
第1回は来日中のイルハン・シャーヒン氏を招いて、報告、討論ともトルコ語で行われた。それにも関わらず、17名の参加者があったことは、日本におけるオスマン帝国史研究の広がりを示していると言えよう。
「エルトゥールル号と日本におけるイスラーム布教」と題された第1報告は、イスタンブル・ムフティー局附属文書館に所蔵される史料から、オスマン帝国スルタンが日本にエルトゥールル号を派遣する際に、日本でイスラームを広めるためにウラマーを数名派遣しようと試みたという新事実を紹介した。
第2報告は、「オスマン帝国における統治と統治の観念」と題するもので、価格統制、分配のメカニズム、自給単位としてのカザー、市場経済の重視、成果主義にもとづく効率的な官僚制などに着目しつつ、オスマン帝国の統治システム及び経済システムが、ヨーロッパとパラレルな発展を妨げた一方で、同時にオスマン帝国の永続性の要因になっていたことを強調した。遊牧民集団の研究を中心に、オスマン帝国の社会経済史及び地方行政史を長らく研究されてきたシャーヒン氏が、メフメト・ゲンチ氏によるオスマン帝国論をふまえつつ、自身のオスマン帝国観を開陳した報告であり、氏によるオスマン帝国史の見通しを聞くことができたのは幸運であった。
(文責:秋葉淳)
(2012年7月20日更新)