トルコにおける資料所蔵機関調査
[期間]
2010年8月7日(土)~8月26日(木)
[国名]
トルコ共和国 (イスタンブル、アンカラ)
[出張者]
吉田達矢(明治大学文学部兼任講師)
[概要]
本出張では, トルコ共和国のイスタンブルとアンカラにある文書館・図書館の現状や利用方法などについて調査を行った。
トルコにある研究施設の幾つかは独自のウェブサイトを開設しているが, 更新があまり頻繁ではないところもあり, 具体的な利用方法が示されていない場合もある。このため, 直接赴いて最新の情報を入手することが本出張の目的であった。
今回調査した主な研究施設は以下のものである(各研究施設に関する情報はイスラーム地域研究東洋文庫拠点(TBIAS)のウェブサイトにて公開予定)。
イスタンブル : 総理府オスマン文書館, アタチュルク図書館, ミッレト図書館, スレイマニエ図書館, キョプリュリュ図書館, ヌール・オスマニエ図書館, ベヤズット国立図書館, イスタンブル大学希少書図書館, イスラム研究センター(通称: ISAM)図書館, オリエント研究所図書室, フランス・アナトリア研究所(通称: IFEA)図書室, アメリカ・トルコ研究所(通称: ARIT)図書室, ボアジチ大学図書館, ヤプ・クレディ・セルメト・チフテル図書室 など
アンカラ : トルコ歴史協会図書室, トルコ言語協会図書室, 国立図書館, 総理府ワクフ総局中央図書室, 総理府共和国文書館, 地券・地籍簿総局文書館, ビルケント大学図書館
各研究施設の利用方法は, 出張者の留学時(2002~2004年)と比べて大きく異なる所が多かった。一部の文書館や図書館では, いまだ関係機関(文化・観光省や外務省など)へ事前に研究許可申請をしなければ利用できないものの, 多くは直接赴き, その場で研究許可申請書を記入して提出すれば, その日のうちに調査を行うことが可能であった。 さらには, デジタル化も進行しており, 検索や手稿本・文書などの史料の閲覧はパソコン端末を通じて行う形式になっている場合が多くなっていた。
このような状況は, 史料へのアクセスが容易になった反面, 史料に直に触れる機会が減少していることを意味する。史料の保存を考慮すれば仕方がない状況であるが, 研究方法も今後このような変化に対応していかなければならないように思われる。
以上のように, トルコ共和国の各研究機関におけるデジタル化は継続中であり, 今回の出張では調査ができなかった文書館・図書館も含め, 今後も各施設の情報を継続的に調査していく必要がある。
(2010年8月31日更新)