「シャリーアと近代:オスマン民法典研究会」第6回研究会(2009/4/4)

研究班「シャリーアと近代:オスマン民法典研究会」は、オスマン民法典(メジェッレ)のアラビア語訳の講読および翻訳作成を最終目的として、研究を進めています。

下記日程にて第6回目の研究会および会合を行いました。

[日時]  2009年4月4日(土) 13:00~18:00
[会場] 東洋文庫イスラーム地域研究資料室
会場アクセス       ※東洋文庫本館とは別建物です。ご注意下さい。
[道順]駒込駅から本郷通りを六義園方面へと直進し、ampmを通過したあたりにあるビルです。 1階に日本直販が入っています。入口は、建物の右側裏手にあります。やや判りにくいので、迷われたときには事務所までご連絡下さい。
[報告]  メジェッレ翻訳案 第82条~
[概要]
「シャリーアと近代:オスマン民法典研究会」第6回研究会は、4月4日に、前回と同じく東洋文庫イスラーム地域研究資料室にて開催された。参加者は8人であり、第4回、第5回にひきつづいて磯貝健一氏によるオスマン民法典(メジェッレ)第82条から100条までの訳稿の検討が行われた。

今回検討した個所は、その多くが賠償責任などに関する内容であった。各条はそれぞれ類似した内容を持ち、かつ短文のものが殆どであった。本章は今回検討が終わった第100条で終わり、そのあとは別の章が始まるため、メジェッレ作成者は100という切りの良い数字でこの章を終わらせたかったのではないか、という意見も出た。今回もこれまでと同様、歴史学や法学などさまざまな専門を持つ参加者により文意や訳語について有意義な議論が交わされ、本研究会の持つ利点が存分に生かされた会であったと言えよう。

また今回検討した部分では、オスマン語「原本」(以前に指摘されたように、実際にはアラビア語の史料を用いて書かれているので完全に「原本」とはいえない)はそれほど読解の助けにはならなかった(そのため、オスマン語版を元にしたとおもわれるフランス語訳、英訳も同様であった)。ただしオスマン語版は、古典的なイスラーム法の表現が用いられるアラビア語「訳」よりも、より実際的・実践的な形で記述されていると考えられるために、今後もニュアンスをくみ取るうえではオスマン語テキストの検討は重要であろう。また、注釈なしでは文意がくみ取れない条文も多く、事前に注釈を確認しておくことの重要性が改めて認識された。
なお、田崎氏によって、これまでの研究会において検討してきた条文の主要タームについて、訳語やその問題点を的確にまとめた表が配布された。これは今後の検討にとって、非常に有益であると思われる。

文責 小笠原弘幸

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