東洋文庫拠点研究会(2007/1/27)
「宗教施設の法的地位と社会的役割 – オスマン朝期アレッポのモスク-」
Legal status and social role of religious institutions – The Mosque in Ottoman Aleppo –
[発表] シュテファン・クノスト氏
Dr. Stefan KNOST (日本学術振興会特別研究員・東洋文庫研究員)
[日時] 2007年1月27日(土)
[場所] 早稲田大学41-31号館2階会議室
[概要]
英語を使用言語とする研究会ではあったが、若手研究者を中心に20名余の出席者を集めた。
クノスト氏はオスマン朝期アレッポのモスクの社会的性質について、理論・実例の両面から詳細な検討を行い、アレッポで(街区の管下にある)街区モスクが(オスマン朝管下に置かれる)金曜モスクに転化されたあとも、当該街区がモスクでの役職の任免において権威を有していた事実を挙げたうえで、当時のアレッポにおいて自治的機能をもつ街区社会が成立していた可能性を提示した。
発表者のクノスト氏は、法廷台帳および写真、地図など画像資料を多用し、アレッポという都市を実際に感じ取ることが出来る視覚的かつ具体的な発表を行った。
英語での研究発表だったが、レジュメと資料の充実も手伝って聴衆の理解が促進され、活発な質疑が行われた。研究会では、発表内容に加え、使用した文書史料や地図資料にも関心が集まり質問が寄せられた。
[発表者紹介]
シュテファン・クノスト氏 Dr. Stefan KNOST日本学術振興会特別研究員・東洋文庫研究員。
博士(イスラーム学)。 1965年ドイツ生まれ。
専門はオスマン朝期(タンズィマート以前)シリアの都市研究。
シリアのみならずトルコ国内の文書館をも網羅し、法廷台帳・寄進文書を活用しながらワクフなどの宗教施設の社会的役割を通して街区の自治的機能を明らかにしつつある。
2006年11月より来日(滞日予定2年)。
(2007年2月1日更新)