アラビア文字資料司書連絡会(2013年度)

2014年2月26日、東洋文庫2階講演室において、2013年度のアラビア文字資料司書連絡会を行いました。

参加機関(順不同):アジア経済研究所図書館、大阪大学外国学図書館、京都大学AA研図書室、慶應義塾大学メディアセンター、国立国会図書館関西館アジア情報課、国立情報学研究所(NII)、NPO法人大学図書館支援機構(IAAL)、東京外国語大学附属図書館、東京大学東洋文化研究所図書室、東京大学文学部図書室、東北大学附属図書館、早稲田大学図書館、公益財団法人東洋文庫研究部イスラーム地域研究資料室(TBIAS)【プログラム】
13:30 拠点代表あいさつ
13:40 2013年度のトピックとTBIASの活動報告、今回連絡会の主旨について
14:00 各機関の報告と総括
 1.NACSIS-CATにおける今年度のアラビア文字資料の登録状況(NII)
  2013年度アラビア文字資料の収集・整理状況について(各機関報告)
 2.各機関のアラビア文字資料(図書・雑誌)の検索方法について
 3.その他
  ・メーリングリストの今後のあり方について
  ・今後の連絡会のあり方について
17:00 終了
17:30 懇親会

【概要報告】

2012~2013年度は、NACSIS-Webcatのサービス終了、CiNiiやNDLサーチといった新しい検索サービスの開始、NIIによるOCLC参照レコードの提供終了、米国を中心とした目録規則のRDAへの移行、といったトピックがあったが、2014年度は、アラビア文字資料の整理環境に大きな変化はなかった。従って、今年度の連絡会は活動の報告が主な内容となった。

はじめに、イスラーム地域研究資料室(徳原)より、カイロのダール・アル=クトゥブの爆破事件などの、現地語資料に関係する最近の報道についての紹介を行い、その後、各機関による事前アンケートへの回答の発表を行った。アンケート結果およびNII作成資料からは、アラビア文字資料を所蔵する機関のあいだでも、継続的に収集・整理を行っている機関とそうでない機関が存在し、後者においてはノウハウの蓄積や継承が課題となっていること、学生アルバイトの人材確保や育成の問題、そして、アラビア文字資料の整理にかかる費用に照らして利用が少ないことなどの問題が浮き彫りになった。IAALではアラビア語、トルコ語などの整理が可能であり、こうした機関が拠点となって目録作成を集中的に行う案も出された。

TBIASではホームページ上でアラビア文字資料を整理する上での注意点などを公開している。4月には、ウェブページのリニューアルに合わせ、新たに「アラビア文字資料の整理のための手引き」というページを公開した。整理の費用対効果を挙げるためにも、リテラシーセミナーの開催や、文献紹介などを継続していく予定である。また、OPACでは検索できない新聞や特殊コレクション、未整理図書が少なからず存在することがアンケートから明らかになった。こうした資料の利用促進のためにも、検索方法について周知に努める必要があることが確認された。

また、TBIASからは、図書館の整理費が逼迫していることから、教員・研究員が科研費等で資料を購入する計画を立てるときは、予め整理費を予算に計上して申請するようべきであり、研究界に対して働きかける必要があると提案を行った。

この他に、アラビア文字資料の整理の技術は向上してきており、さらなる段階として、主要な機関の間でのリソース・シェアリングについても議論したいとの要望が提出された。機関の壁を越えた共同収集や共同保存の実現には、乗り越えるべき制度上の課題が多いが、ILLや電子化の普及により、技術的にはハードルは下がってきている。TBIASとして何ができるか、今後もその可能性について考えていく必要がある。

 

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