「シャリーアと近代:オスマン民法典研究会」第1回研究会(2008/06/21)

イスラーム地域研究東洋文庫拠点では、今年度よりオスマン朝期の文書史料を研究対象とする研究班「シャリーアと近代:オスマン民法典研究会」を新たに立ち上げました。

研究班「シャリーアと近代:オスマン民法典研究会」は、オスマン民法典(メジェッレ)のアラビア語訳の講読および翻訳作成を最終目的として、研究を進めていきます。

下記日程にて第一回目の研究会および会合を行いました。
今後も、関心をお持ちの方はどなたでも奮ってご参加ください。

[日時]  2008年6月21日(土) 14:00~17:30
[会場] 東洋文庫5階談話室(502)  会場アクセス
[報告]「メジェッレ翻訳の意義」
[報告者]堀井聡江氏
[概要]
6月21日、第1回「シャリーアと近代:オスマン民法典研究会」が東洋文庫で開催された。
本研究会は、オスマン民法典(メジェッレ)のアラビア語訳(マジャッラ)購読および翻訳を目的としている。今回の研究会には、イスラーム法、ロシア民法、歴史、経済を専門とする研究者と法律の実務化など14人が参加。最初に、堀井聡江氏(桜美林大学)が「『マジャッラ』を翻訳する意義」について報告を行った。
イスラーム法が専門でない参加者も多かったため、堀井氏はまず、イスラーム法とメジェッレの立法史を概説。その後、メジェッレが序章(一般諸原則)と売買、賃約など16章で構成されていること、そして、具体的な法律の条文(日本語訳)が紹介された。
それによると、一般諸原則はイブン・ヌジャイム(1563没)などの著作が意識されており、条文は前近代の法律書の書き方が踏襲されているという。最後に、メジェッレの後世への影響、つまり、イスラーム法が近代的に咀嚼されたメジェッレがエジプトなどアラブ諸国の民法典に影響を与えたことが明らかにされた。

Exif_JPEG_PICTURE 次に、大河原知樹氏(東北大学)が本研究会の目的を確認し、メジェッレの編纂過程やアラビア語訳、英訳、仏訳の具体的な文献を紹介。参加者の議論もふまえ、アラブ諸国への影響を検討するためにも、アラビア語訳の日本語への翻訳を行うことに決定した。
底本はイスタンブル・ジャワーイブ出版からの第3版1305[1886-87]を使うことにした。翻訳に際し、オスマン語原典はもちろん、英訳・仏訳も参考にしながら、法律家のアドバイスを受け、適切な訳語を決定していくこととなった。
どの部分の翻訳から始めるか議論になったが、「全訳を目指す」「前文にあたる「タクリール」(原典ではマズバタ)はイスラーム法専門家以外には難しい」との理由で、序章:一般諸原則から訳出していくことに決定した。

■研究会趣意書&報告レジュメ
第一回目研究会にて配布された研究会趣意書(大河原知樹氏作成)及び報告レジュメ(堀井聡江氏作成)のPDFファイルは、下記にてダウンロードできます。ご利用下さい。
>>趣意書ダウンロード
>>報告レジュメダウンロード

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