イスラーム地域研究 現地語資料の探し方(2015年版)
目的:ここでは、CiNii Books を使って、国内に所蔵されているアラビア文字資料(図書・雑誌)を効率よく検索するためのポイントを説明します。
はじめに
調べ物や研究論文作成のために文献や資料を探すとき、もっとも手っ取り早い方法は、Googleなどの検索エンジンで探すことかも知れません。しかし、実際に手に取ったり、借り出したりできる資料を探すのであれば、自分の大学の図書館や、地域の公共図書館などにあたる方がよいでしょう。アラビア文字資料となると、国内で所蔵しているのは大学や研究機関の図書館にほぼ限られます。
また、一機関だけで必要な資料を全て集められるとは限りません。アラビア語やオスマントルコ語などの資料となると、どの機関でも所蔵しているような資料というのは少なく、ある資料は東京大学にしかなく、別のある資料は京都大学に、また別のある資料はアジア経済研究所にしかない、というように、国内の機関に点在していることが珍しくありません。
自分の求める資料を見つけるために、まず東大図書館のOPACで検索し、次に東外大、京大、阪大、アジ研、・・・と、いちいち各機関のOPACで検索していたのでは、大変な手間と時間がかかります。研究論文ともなれば、数十点もの資料を使うことは珍しくありませんので、なおさら効率的に検索するスキルが重要になります。
そこで、本記事では、複数の機関の所蔵資料を一度に検索できるCiNii Booksを使って、アラビア文字資料を上手に検索するためのポイントを解説します。
NACSIS-CAT とは
NACSIS-CAT とは、国立情報学研究所(NII)が運営する全国規模の共同のオンライン目録データベースです。2015 年 3 月 31 日時点で、国公立大学192、私立大学575、海外機関131 を含む、1263の機関が接続しており(1)http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/archive/stats/cat/org.html、図書、雑誌併せて 1103 万件以上の書誌が登録されています(2)http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/archive/stats/cat/transition_record.html。
NACSIS-CAT では、資料のタイトルや著者名、出版者情報などの書誌情報からなる書誌レコードを参加館が共有し、それに対して各機関の固有の所蔵情報からなる所蔵レコードをリンクさせる仕組みをとっています。このため、一度に複数の機関の所蔵を確認できるという上述のメリットに加え、書誌情報が複数の機関の作業者によって修正されるため、書誌情報の正確さが増し、結果として資料が見つけやすくなるというメリットもあります。
また、資料を所蔵する機関と自分の所属機関がともにNACSIS-ILL(3)NACSIS-CATと連動した、参加館間の相互貸借(ILL)のためのシステム。詳しくは、http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/about/ill/ を参照。の参加館であれば、自分の所属機関を通じて資料を取り寄せたり、複写の依頼をしたりすることができます。自分の所属機関がNACSIS-ILL参加館であるかどうか、またILLの利用方法については、所属機関の図書館職員にお尋ねください。
注
↑1 | http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/archive/stats/cat/org.html |
---|---|
↑2 | http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/archive/stats/cat/transition_record.html |
↑3 | NACSIS-CATと連動した、参加館間の相互貸借(ILL)のためのシステム。詳しくは、http://www.nii.ac.jp/CAT-ILL/about/ill/ を参照。 |
(2015年10月27日更新)